泣けるスイッチ・3 親で泣けるスイッチが入るという発見

ここでようやく親の話にたどり着く。


泣きながらタウンページをめくったあと、1人で病院に行った。だが、あいかわらず電話やメールは無理だった。そこで、私は親に手紙を出した。このへん、あんまり記憶がない。ぎりぎり記憶はあるんだけど、ほぼない。そして、そのあとからの記憶は、すっぽりとない。


親への手紙には、心配をかけてすまない、病院に行った、電話には出られないのでわかってくれ、なにかあれば友人の連絡先を書いておくのでそちらに連絡をしてくれ、まあそれほど心配するほどのことでもない、わりと元気だ、そういうことを書いたと思う。


あの手紙、親はどうしただろうか。どこかにとっているんだろうか。捨てていて欲しいが、あと10年くらいして読んでみたい気もする。


さて、このへんから記憶がないので、なにも書けないのだけれど、結論から言うと、このあと親がやってきて、私は実家に強制送還された。最後まで実家に帰ることを嫌だと言い張った。だけど、抵抗はしなかった。というか、抵抗できるだけの余力はなかった。口で嫌だと言って、不機嫌にしているのが、精一杯だった。荷物と一緒に車に積み込まれて、私は実家に運ばれていった。


実家に戻ってからは、少し記憶がある。恥ずかしい話だが、泣きながら母に抱きついたりしていた。小さい頃に戻ったみたい、とよく言われた。


というわけで、私は、親に、ものすごく負い目があるのだ。


私は一人娘で、父も母も、基本的に私に甘い。しつけらしいしつけをされたという実感がない。彼らなりに私に注意はするけれど、私はそれをそのときの気分で、無視したりする。それが私には許されてしまうのだ。


私は親をなめている。あいつらは、結局私に甘いから、頼めばなんでも聞いてくれると、どうしてもそう思ってしまう。


だから、家を出た。だから、私は、親のそばにいられなかった。家を出ても、結局私は親を頼る。たいした罪悪感を持たず、親を使う。そういうのも、私に影響を与えていると思う。


先日、夜のガストで、友だちと話していて、この親スイッチに気づいた。


「あとから気が付いたけれど、私は、結局、彼氏と親とを並べて、親を取ったんだよね」


という話をしているときのことだ。


親の病気がわかったとき、私は、真っ先に、親が死ぬことと、彼氏と別れることを、同時に思い浮かべていた。


ことの始まり - なるべく毎日なにか書くにも引用しているが、

親が死んじゃうところと彼氏と別れるところを想像したら泣けた。

posted at 21:57:37

http://twitter.com/tomihiro/status/27928330614


ツイッターに投稿している。


私は、親に負い目がある。本来なら、彼氏と親は天秤にかけるものではない。どっちも大事、という答えでファイナルアンサーだ。


でも、私は、このとき間違えてしまった。


実家に戻る前に、彼氏と別れることを考えた。そうしたほうがいい、と思ってしまった。しかし、「別れたほうがいいから別れる」というのは、それは違うと思いなおした。


別れたほうがいいから別れるという理由は、恋愛だから、だめだと思う。理屈で別れるのは、絶対に間違っている。別れるのならば、感情で別れなければ、だめだ。「別れたい」という気持ちがあって、初めて、別れられると思う。


それで、彼氏とは別れないことにした。これは、彼氏にも伝えた。ただ、私はいつ帰って来られるかわからない状況だった。私にも、彼にも、遠距離恋愛は無理だった。だから私は、彼に、「別れないけど、浮気はしてもいい」と言った。大間違いをした。この話も本筋を離れるので省く。


そういう話を、深夜のガストで、友だちに聞いてもらっていた。そして、私は言った。


「結局、私にとって、親って、大事なんだよね」


このとき、スイッチの作動音がした。悲しくもないのに、泣いていた。そして、気が付いた。だから、あんなに実家に帰る前に泣けて泣けてしょうがなかったのか。すごく腑に落ちた。


次は依存の話を書きたい。そして、泣くことについて。
あと2本書いていたら明日病院に行けないから、残りは後日にする。
後日にしても書けるといいけど。