初回認定日・3

肩につくくらいの長さの髪で、清潔感のある、人見知りっぽい感じの、肌の白い女性が担当職員だった。

仮の受給者証のことについて、何点か確認し、また、私が職業訓練を受けたいと考えていることなどについても、いくつか確認をした。

まあ、いろいろと大丈夫であろう、ということになり、とりあえず職業訓練を受けることになった場合と、受けられない場合の対処の仕方を教えてもらった。また、次回の来所の際に必要な書類などももらった。

職業訓練を受けずに就職活動をする人のほうが多いだろうので、私はそこそこイレギュラーな失業者なのかもしれない。また、通常だと、先日の説明会の時点で、私が国からいただけるお金の額がわかっているようなのだけども、まだ仮の私の場合はわからないので、もしかすると、けっこう面倒な失業者かもしれない。そんな風に思ったので、親切に対応してくれたおねえさんに、どうもありがとうございました、とお礼を言った。おねえさんは笑顔で、いえいえおつかれ様でした、って言ってくれた。

おねえさんが、「とりあえず今日は初回認定日ということなので、みなさんに職業相談を受けてもらっているので、1階の窓口に行って、その旨を伝えてください」と言っていたので、素直に1階の窓口に行った。私はこういう時、かなり従順に動く方だ。

1階の窓口には、パートのおばさんと呼んで差し支えない感じの女性が2〜3人立っていた。そのうちのひとりに、初回の認定日で職業相談を受けるように言われたのですが、と申し出ると、ハローワークカードを出すように言われた。予期していなかったので、カードを出すのにちょっと手間取った。よくわからなくて、カードと、おねえさんからもらった書類とを、一緒に差し出したら、カードだけでけっこうです、他の書類は大切なものなのでお持ちください、とやんわりと注意をされた。そうか、この書類は大事なんだな、と私は思った。

番号札を渡されて、空いていた椅子に座った。1階も混んでいた。おそらく5、60台はある求人票を検索するためのパソコンが、すべて埋まっているようで、何人か空くのを待っているようだった。こういうのを目の当たりにすると、不況であることを肌で感じられるような気がして、ちょっと得をしたように思ってしまう。

10時ちょっと前くらいに番号が呼ばれて、席に着いた。今度の担当の人は男性で、メガネである。どちらかというと、いいメガネだった。左手の薬指には銀色の指輪があった。奥さんがどんな人なのか、子どもがいるかどうか、までは、想像できなかった。

席に着くなり、「職業訓練を受けるということで、就職への意思も固まっているかと思いますし、特に相談することはありませんね」と言われたので、まだ職業訓練を受けることができるかどうかは決まっていないです、とバカ正直に現状を報告した。すると、男性職員は、ちょっと動揺している様子で、いろいろと取り繕い始めた。おそらく、3分くらいで終了予定だった面談が、10分弱くらいに延びたのではないかと思う。

しかしながら、それほど長くかかることもなく、まあ就職に向けてがんばってくださいね、お疲れ様でした、と面談は終了。

せっかくハローワークに来たので、求人検索機を冷やかして帰ろうと思い、窓口に寄ったら、もう待っている人はいなくなっていて、すんなり検索機にありつけた。20分くらいおもしろい求人を探した後、その日は帰ることにした。